アリゾナ州の田舎で， SQUAW という標識のあるトイレが男性用なのか女性用なのか分らないので困ったことがあります。しばらくすると女性が出てきましたので，別のトイレ（標識の文字は忘れました）に入りました。SQUAW とはアメリカン・インディアン語で女性の意味だということを後になって知りました。今なら，ズボン姿の絵か，スカート姿の絵かで性別は一目瞭然なので，言葉の壁はありません。交通標識でも，ほとんど絵と数字だけになっていますから，言葉の壁はなくなっています。

元の姿		今の姿

　国際空港や国際会議場のような場所では確かに言葉の壁がないことはメリットですが，日本人だけが利用する場所まで，むやみに文字無しの標識に頼り過ぎると問題があるという例を二つお見せします。文字が無いほうがスッキリして格好が良いと考えるとすれば，機能を軽視した本末転倒でしょう。

• 立ち入り禁止の標識：右上の図のように，例のズボン姿の標識があるので，トイレだと思って近づいたところ，実は「立入り禁止」の標識の成れの果でした。斜めに引いてあった赤い線が消えていたのです。赤の顔料が劣化しやすいことが原因のようです。「立入り禁止」とか「はいってはいけません」と書き添えてあれば，赤線が消えても問題はなかったはずです。
• エレベーターのボタン：私の住んでいる老人ホームのエレベーターには，右の写真のように上行き用の▲と下行き用の▼のボタンがついていますが，上昇下降にかかわらず常に▼のボタンを押す人がいます。用もないのに下行きに乗って，最下階でドアが開いても出てこないのです。せめて↑とか↓とかであれば，方向を示すことがはっきりしますが，単なる三角形なので，デザインと誤解しているのかもしれません。マークのそばに“上”とか“下”とか書けばそういう間違いは防げるでしょう。（写真にある点字ではそう書いてあると思います。）